ARTIQ JOURNAL / No. 14 / GOLD / WORN EVERY DAY
今だからこそ、
金無垢を日常に取り入れる
金の価値を、相場の数字だけで終わらせない。しまっておく安心に、着けて過ごす喜びを。クレ ドゥ カルティエとデイデイト18238から、日常のゴールドを考える。
値上がりのニュースの、その先へ。
金の価格がニュースになるたび、私たちは金を数字として見る。何グラムでいくらか。去年よりどれだけ上がったか。世界的な上昇を経た2026年、World Gold Councilの第2四半期報告では、ドル建て金価格の四半期平均は前年同期を37%上回った。一方で、直前の四半期からは8%下落している。歴史的な高値の時代にも、相場は一方向には動かない。[1]
それでも、金を保管しておくものとしてだけ眺めるのは、少し惜しい。光を受けたときの色、手に載せたときの重み、袖口から見えたときの表情。腕時計なら、その素材を一日に何度も楽しめる。金を持つことに、金と過ごす時間を足す。今、金無垢の時計を選ぶ面白さはそこにある。
もちろん、時計の価格は金相場そのものではない。機構、造形、ブランド、状態や整備が価値をつくる。値上がりを約束する道具ではなく、素材の魅力を日々味わえる時計として選びたい。
「成金」の記憶を、今日の服まで持ち込まない。
金の時計と聞くと、バブル期の華やかな装いや、成功を誇示する姿を思い浮かべる人もいるだろう。けれど、その連想は金という素材の性格をすべて言い当てているわけではない。派手に見えるのは、金そのものより、合わせる服やほかの装飾、見せる分量なのかもしれない。
世界の装いを見渡せば、金の時計を富の記号として読む視点も、ジュエリーや受け継ぐ品として楽しむ視点もある。1956年に誕生したデイデイトは、貴金属を用いるコレクションとしてその歴史を重ねてきた。[2] ゴールドを選ぶことは、一時代の日本のイメージを再演することと同じではない。
いまの白いTシャツ、ネイビーのニット、少し色の落ちたデニム。その中に一本だけ金を置いてみる。全身を華やかにしなくても、手元の光が服の輪郭を引き締める。昔の印象を避けるために素材まで避けるより、着け方を自分のものにしたい。
肌に馴染む金を、自分の手首で見つける。
ゴールドは欧米の人のための色、と思う必要はない。日本の装いにもよく使う生成り、茶、オリーブ、藍。こうした色の隣で、金の温かい光は自然なつながりをつくれる。黄みやオリーブを感じる肌の色調には、イエローゴールドが強いコントラストをつくらず、柔らかく馴染んで見えることもある。
ただし、日本人なら誰でも同じ肌色ではないし、欧米の人より必ず似合うという話でもない。見るべきなのは国籍より、自分の肌と時計の色、いつもの服との組み合わせだ。ローズゴールドの赤みがしっくりくる人もいれば、イエローゴールドの明るさが手元をきれいに見せる人もいる。
選ぶときは、時計だけを白い背景で眺めて終わらせない。自然光の下で手首に載せ、普段の袖を少しかぶせてみる。鏡で上半身まで見ると、接写では強く見えた金が、装いの小さなアクセントに落ち着くことがある。
クレ ドゥ カルティエ。柔らかな金を、袖口に。
クレの金無垢は、輪郭からして柔らかい。円形の文字盤を包むケースのふくらみが、ブレスレットの曲線へ続く。入荷した40mmの一本は、ケースとブレスレットに18Kローズゴールドを使い、シルバー系の文字盤とブルーの針を組み合わせる。素材の存在感を、曲線と色の温度で見せる時計だ。
鍵を思わせるリューズが名前の由来となったクレは、2015年に登場したコレクション。[3] ケースの側面にまで造形があるから、真正面より、袖口から斜めに見える瞬間に惹かれる。
合わせるなら、生成りのニットや淡いグレー、洗いざらしの白いシャツ。赤みのある金をひとつ置くと、淡い服に温度が加わる。ほかのアクセサリーを増やさず、時計そのものをブレスレットのように楽しむ着け方が似合う。
デイデイト18238。王道を、普段着にほどく。
こちらはイエローゴールドのデイデイト18238。シャンパン系の文字盤にバーインデックス、フルーテッドベゼル、プレジデントブレスレット。金色で統一されていても、平らな文字盤、細かなベゼルの稜線、丸いブレスレットの駒が、それぞれ違う光を返す。色数ではなく、質感の差を楽しむ一本だ。
36mmというモデル公称径も、日常に取り入れるうえで魅力になる。素材には密度がある一方、手首を覆う面積は抑えられる。大きさまで主張させず、金の存在感を凝縮して着けられる。
濃紺のニットにグレーのパンツ、白いシャツにデニム。まずは普段の服をそのままに、時計だけを替えてみたい。プレジデントブレスレットを改まった場に閉じ込めず、日々の袖口へ連れ出す。
特別な日を待つより、普通の日を少し変える。
金無垢だからといって、毎日どんな場面でも着ける必要はない。机に触れる時間の長い日、運動をする日、時計を外して過ごすほうが心地よい日もある。大切なのは、日常使いを無造作な扱いと取り違えず、着ける機会を自分でつくることだ。
最初は週末の食事でも、近所でコーヒーを飲む時間でもいい。いつもの服に着けて、少し慣れる。袖との距離や、自分にちょうどよい光の量が分かってくると、金無垢は特別な道具から、自分の装いへ変わっていく。
相場の数字は、明日も変わる。けれど、今日この時計を着けてよかったという感覚は、今日しか得られない。保管する楽しみがあってもいい。そのうえで、せっかく時計という形を選ぶのなら、時刻を見るたびにその金を楽しみたい。
FIRST, AT ARTIQ
ARTIQの現在庫より
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