ARTIQ JOURNAL / No. 13 / GRAND SEIKO / KING SEIKO

国産の頂点を、違う時代から。

Grand Seiko 1stの出発点と、キングセイコー5626-7200の表情。序列ではなく、二つの時計が向き合ったものを読む。

ARTIQ EDITORIAL · 2026.10.11 · 約5分

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キングセイコー ハイビート 5626-7200
ARTIQの実物写真
01

「上か下か」で見るには、惜しい。

グランドセイコーとキングセイコー。名前が並ぶと、どちらが上位かという話に向かいがちだ。けれど、古い時計を一本ずつ見ると、序列だけでは説明できない魅力がある。文字盤の余白、ケースの線、カレンダーの配置。腕に着けて目にするのは、それぞれの具体的な姿だ。

ここではGrand Seiko 1stの歴史的な出発点をたどりながら、入荷したキングセイコー5626-7200を眺める。二本は同じ条件の比較対象ではなく、別の時代と目的を考える入口として取り上げる。

02

Grand Seiko 1st。まず、正確な時計をつくる。

グランドセイコーは1960年に誕生した。公式の歴史資料では、初代は当時のスイス・クロノメーター優秀規格と同一の社内検定を通過し、歩度証明書を伴って発売されたと説明される。外観の豪華さだけでなく、精度を根拠として時計の価値を示そうとした出発点が見える。[2]

入荷したファーストの実物写真が揃った。アイボリー系の文字盤に細い金色の針、黒い型押しベルト。緑の文字盤を持つキングセイコーとは、色も輪郭も異なる。仕様を揃えた世代比較ではなく、それぞれの時代が生んだ装いの選択肢として見たい。小さな経年の点や裏蓋の線傷まで、商品ページの写真で確認できる。

03

キングセイコー。曜日も日付も、文字盤の一部に。

入荷した5626-7200では、3時位置に曜日と日付が並ぶ。緑の濃淡のある文字盤と、外周の目盛り、幅のある針。その中でカレンダーも、道具としての表情をつくる一部になっている。精度の理想という大きな話から、日々の予定を確かめる小さな動作へ。時計を見る視点を切り替えてくれる一本だ。

ただし、この個体の文字盤の色を、そのまま当時の標準仕様として一般化することはしない。文字盤のオリジナル性を裏づける資料は揃っていないためだ。ケースには研磨による丸みがあり、メッシュブレスレットは社外品として登録している。写真に見える魅力と、確認できている事実を並べて選んでほしい。

04

歴史を知ったら、もう一度、実物へ。

時計の歴史は、手元の一本に厚みを与えてくれる。しかし、歴史的な名作という評価が、そのまま目の前の個体の状態を保証するわけではない。整備、精度、外装、付属品は別々に見る必要がある。

Grand Seiko 1stには誕生時の思想を知る楽しさがある。キングセイコーには、カレンダーやケースの線から日常の使い方を想像する楽しさがある。その両方に興味を持てることこそ、国産時計を集める豊かさではないだろうか。順位を決めるより、次に手首へ載せたい理由を見つけたい。

FIRST, AT ARTIQ

ARTIQの現在庫より

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