ARTIQ JOURNAL / No. 09 / QUARTZ & DRESS

クオーツにも、ドレスコードがある。

薄い針、白い文字盤、金属の静かな光。ドルチェからシーマスターまで、駆動方式の先にある美しさを読む。

ARTIQ EDITORIAL · 2026.10.11 · 約5分

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セイコー ドルチェ 8N41-6100
ARTIQの実物写真
01

電池で動くことと、どう見えるか。

クオーツか機械式か。その区分は時計を理解するうえで大切だが、袖口から見える美しさを決める答えにはならない。針の細さ、目盛りの間隔、ベゼルの幅。身に着けたときに目に入るものは、むしろそうした小さな設計の積み重ねだ。

今回は技術史をいったん離れ、四本のクオーツを服に合わせる視点で見ていく。共通するのは、時刻の読みやすさと金属の光り方に、それぞれの工夫があること。豪華さを一つの物差しにせず、静かな時計の違いを楽しみたい。

02

ドルチェ。金色を、線で使う。

8N41-6100の写真を見ると、銀色の面に金色の縁取りが入ることで、輪郭が柔らかく見える。コンビカラーは派手だと思っていた人も、金色の面積に注目すると印象が変わるはずだ。文字盤全体を染めるのではなく、時計の形をたどるように色が使われている。

細いバーの目盛りと控えめな文字盤は、服の色を邪魔しにくい。ジャケットに限らず、無地のカットソーに金属のアクセントを一つ加える感覚でもよい。実物には表面の摩耗や変色があり、色の境目も新品とは異なる。そこまで含めた現在の姿を写真で確かめたい。

03

TYPE II。四角い文字盤に、日常の機能を。

7546-5020は、角型のケースに曜日と日付を収める。すっきりした時計は情報を減らすもの、と思っていると、この構成は新鮮だ。平行な辺と目盛りが画面を整え、その中に実用的なカレンダーが入っている。

白系の文字盤には細かな表情があり、黒い針と曜日の窓が引き締め役になる。革靴だけでなく、デニムやワークシャツにも合わせてみたくなる時計だ。角型だから必ずフォーマル、というわけではない。輪郭のきちんとした感じを、日常着の中で使う面白さがある。

04

シーマスター120M。スポーツ時計の、穏やかな顔。

2311.20の白い文字盤と金色のベゼルは、「スポーツ時計は黒く大きいもの」という先入観から離れた表情を見せる。細い針と小さな目盛りの周囲に、十分な白が残る。その余白が、時計を少し穏やかに見せている。

商品情報のケース径は約36mm。サイズの数字だけで上品さは決まらないが、この個体では白と金色の配分、日付窓の小ささも大切だ。なお120Mはモデル名の一部であり、現在の個体の防水性能を保証する表示ではない。古いスポーツ時計を服と楽しむことと、水辺で使えるかどうかは別の話になる。

05

3954/10。ブレスレットまでが、ドレスコード。

新しく加わったパテック フィリップ3954/10では、装うための工夫がケースの外まで続く。金の細かなメッシュと、ベゼルの小さな凹凸。滑らかな白い文字盤を挟んで、二つの質感が呼応する。

この一本では二針の静かな顔と一体感のあるブレスレットを、時計の主役として楽しめる。ドルチェやロンジンと価格を横並びにするのではなく、それぞれが「端正さ」をどこにつくったかを見てほしい。

06

ロンジン。そして、装うための確認。

950/4839はシャンパン色の文字盤と黒い革の組み合わせ。金属ブレスレットの三本から持ち替えると、時計の印象をつくるのはケースだけではないことがわかる。細い革の帯が、文字盤の色を引き立てる余白になる。

この個体の革には劣化が見られるため、今の外観を気に入ることと、そのまま快適に着用できることは切り分けたい。クオーツも電池交換さえすれば必ず動くわけではない。稼働状態と外装、ベルトをそれぞれ確認して、自分に合う一本を選ぶ。その手順を踏めば、駆動方式だけで見過ごしていた時計が、装いの有力な選択肢になる。

FIRST, AT ARTIQ

ARTIQの現在庫より

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