ARTIQ JOURNAL / No. 10 / BEYOND THE CIRCLE
丸くない時計の、選び方。
長方形、トノー、クッション。同じ「角型」にまとめられない輪郭を、四本の実物から見ていく。
横幅だけでは、時計は選べない。
丸い時計なら直径が一つの目安になる。ところが角型では、同じ横幅でも縦の長さや角の丸め方で、見える面積が大きく変わる。数字だけを見るより、まずケースの外周を目でたどってみるとよい。
縦へ伸びるのか、横へ膨らむのか。文字盤は外形に沿っているのか、別の形を内側に置いているのか。「丸くない」という大きな括りの中に、まったく違う造形の考え方がある。今回は同一モデルの新旧比較ではなく、四本の異なる個性を読み解く。
ティソ。長方形を、ブレスレットまで伸ばす。
銀色のティソは、縦長の文字盤と幅を絞ったメッシュが、一本の帯のように見える。ケースの縁にも細かな凹凸があり、中央のすっきりした針や目盛りとの対比が効いている。
長方形の面白さは、輪郭の直線が手首に一本の軸をつくることにある。時計を目立たせるというより、服の袖口を整えるような使い方が似合いそうだ。細長い時計では、とくに上下の長さとブレスレットの収まりを確認したい。写真に写る細さだけで、着け心地まで決めつけないようにしたい。
フランク ミュラー。曲線は、文字盤の中にもある。
トノウ カーベックス6850SCは、胴がふくらむ輪郭だけでなく、数字そのものが動きを持っている。中央から外へ広がるようなアラビア数字が、ケースの曲線と呼応する。表面の模様、針、数字が重なり、銀色一色に近い文字盤でも単調にならない。
商品情報上の横幅は約33mmだが、その数字だけで「小さい時計」と考えると印象を読み違える。縦長の面と大きな数字が、横幅以上の存在感をつくるからだ。現在の革ベルトには劣化があるため、ベルトの状態も含めて検討したい。時計の形を楽しむにも、腕に留める部分は欠かせない。
A.バルトレー。角を丸めると、余白が変わる。
A.バルトレーのクッション型は、四角と丸の間を行くような輪郭だ。12と6を強調した文字盤の中に、広いシャンパン色の面が残る。ティソの直線、フランク ミュラーの広がる数字とは違い、ゆっくりと視線を受け止める印象がある。
角が丸いから優しい、という単純な話でもない。ベゼルの太さ、針の黒さ、革の色が合わさって、その個体の表情になる。搭載機構は資料だけでは確定していないため、この特集でも断定しない。まず造形に惹かれたら、個体情報と状態を次に確かめる。その順番で出会ってよい時計だ。
TYPE II。四角を、道具として使う。
セイコーTYPE IIは、角型の造形を曜日と日付のある実用時計へ持ち込む。文字盤の辺に沿う目盛りとカレンダー窓の四角が響き合い、情報量があっても形の統一感がある。
角型に惹かれたら、「クラシックだから」だけで選ばず、どの線が好きなのかを考えてみたい。まっすぐな辺なのか、膨らむ胴なのか、柔らかい角なのか。その答えが見つかると、ブランドの知名度とは別の、長く好きでいられる基準ができる。
FIRST, AT ARTIQ
ARTIQの現在庫より
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